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草野心平「秋の夜の会話」を徹底解説!会話の意味について紹介

純子

(ぐうぅぅ~~~……)

蜜柑

おい、腹鳴ってんぞ。

純子

わ、わざわざ言わなくてもいいじゃないっ。蜜柑ちゃんたらいじわるねっ。

蜜柑

へーへー。

純子

はぁぁ、それにしてもお腹が空いたわ……。こう空腹で切ないと、草野心平の「秋の夜の会話」に出てくるカエルさんになった気分よ。

蜜柑

まぁ確かに、潰れたカエルの鳴き声みたいだったもんな、お前の腹の音。

純子

し、失礼しちゃうわね!仕方ないわ、今回はいじわるな蜜柑ちゃんのために、草野心平の「秋の夜の会話」を徹底的に解説して、私とカエルさんの空腹がいかに切ないかを分からせてやるんだから!

蜜柑

んな目的で作品の解説をする文学少女がどこにいんだよ……。

「秋の夜の会話」の作者・草野心平

というわけで今回取り扱う作品は、草野心平が書いた詩、「秋の夜の会話」です!

「秋の夜の会話」は、とても短い会話文の詩なのですが、その短さの中にぎゅぎゅっと生命の切なさが詰め込まれており、読んだ後に少し寂しい気持ちになってしまうところが魅力的な詩なのです!

蜜柑

そもそも「草野心平」って誰だよ?

純子

1903年生まれの、日本の詩人よ!有名な文豪に比べると知名度は低いかもしれないけど、主にカエルをメインに取り扱った、素晴らしい詩をいくつも作ったお人なの!

そう、草野心平といえば、「カエルの詩の人か~」といった感じで認識されていた方も多いかもしれませんね。

草野が出版した詩集、『第百階級』では、全篇にわたってカエルを取り扱った詩が掲載されています

こういうと、まるで草野が無類のカエル好きのように思われるかもしれませんが、当の草野本人は『第百階級』のあとがきにて、「僕は蛙なんぞ愛してゐない!」と書き残していたようです。

とは言いつつも、その後も結局、草野はカエルをテーマにした詩作を続けたようで……。

蜜柑

ツンデレか?

純子

蜜柑ちゃん、そんな言葉知ってるのね。きっと草野にとってカエルって、自分の表現したいもの・書きたいものを書くにあたって、一番うってつけな生き物だったのではないかしら。創作するうえで欠かせない、相棒のような存在ね!

今回紹介する「秋の夜の会話」ですが、この「会話」というのも、実はカエル同士の会話なのです!




「秋の夜の会話」ってどんな詩?

それでは早速、「秋の夜の会話」の本文を見てみましょう!

こちらです。

さむいね
ああさむいね
虫がないてるね
ああ虫がないてるね
もうすぐ土の中だね
土の中はいやだね
痩せたね
君もずゐぶん痩せたね
どこがこんなに切ないんだらうね
腹だらうかね
腹とつたら死ぬだらうね
死にたくはないね
さむいね
ああ虫がないてるね

タイトルにある通り、カエルたちがこの会話をしている時の季節は、秋。

秋を越えて冬を迎えると……そう、カエルたちは冬眠してしまいますよね。

「秋の夜の会話」は、もうじき冬眠に入るカエルたちが、囁くように会話している様子を描いた詩なのです。

「秋の夜の会話」のココがエモい!

「ココがエモい!」のイメージ画像

「秋の夜の会話」のエモポイントは、2つあります!

  1. 雰囲気の静けさ
  2. カエルたちが感じている切なさ

それぞれのエモポイントを、順番に見ていきましょう。

雰囲気の静けさ

「秋の夜の会話」をご一読いただければ分かるかと思いますが、この詩を読むと、なんとなく静かな気持ちになりませんか?

季節は秋で、時間は夜で、もうすぐ冬に向かおうとする風は冷たく、辺りに響くのは小さな虫の声だけ……。

シチュエーションからして切なさMAXなのに、そのうえカエルたちは、もうじき入る冬眠のことを、「土の中はいやだね」と、ネガティブな気持ちで話しています。

生き物にとってはごく当たり前に行われているであろう「冬眠」を、こうして「いやだね」と話させることによって、「カエルたちにとって冬眠って『いや』なものなんだ……」とハッとさせられ、なんだか少し同情してしまいます……。

純子

また、会話のキャッチボールもすごく絶妙なのよね……!

蜜柑

そうか?片方が話して、もう片方が相槌打ってるだけだろ。

純子

そのテンポの良さがいいのよ!ポンポンと短い言葉で会話を重ねて、決してそれ以上先へは広がらないような感じが、カエルたちの狭い世界を表現しているようにも感じられるのよね……。

蜜柑

あー、井の中の蛙ってヤツだな。

純子

(全然違うけど、珍しく蜜柑ちゃんが得意げだから、ここは黙っておきましょう)

カエルたちが感じている切なさ

カエルたちが感じている切なさ……これは、「秋の夜の会話」における、一番のテーマですね。

お互いの姿を見て、「痩せたね」「君もずゐぶん痩せたね」と言葉を交わすカエルたちの様子から、すごく寂しい雰囲気が伝わってきます。

気になるのは、「どこがこんなに切ないんだらうね」という片方の問いかけに対する、「腹だらうかね」という言葉。

蜜柑

腹が切ないって、どういうことだよ?

純子

つまり、カエルたちは「空腹=切ない」と認識しているのね。そう、今の私のように……。

蜜柑

相変わらず鳴ってんな、お前の腹。カエルの鳴き声みてーに。

ここの会話から、カエルたちは「空腹を切ないもの」として捉えていることが分かります。

しかし、本当に切ないのは「腹」だけなのでしょうか?

私は、もしかしたらカエルたちは、「腹」と一緒に「胸」も切ないのではないかな、と思います。

すっかり寒くなった秋の夜に、痩せた姿で、仲間と身を寄せ合って囁き合うカエルたち……。

きっと、心のどこかで「寂しさ」を感じていて、その寂しさを、空腹による切なさと混同しているのではないかと感じました。

もしそうなのだとしたら、自分の気持ちを正確に理解しきれていない辺りに、寒くなったことで思考が鈍ってきている感じが表れていますよね。

蜜柑

あと、さっきから気になってたんだけど。最後の会話、噛み合ってなくね?「さむいね」「ああ虫がないてるね」って……。

純子

よく気付いたわね!そう、片方のカエルさん、最初は「さむいね」って振られたら、ちゃんと「ああさむいね」って返していたでしょう?でも、ラストでは「ああ虫がないてるね」って答えてる。

蜜柑

コイツ、話ちゃんと聞いてねーんじゃねーの?

純子

半分正解ね!実はこの片方のカエルさん、ラストではすでに冬眠しかかっちゃってるの。

蜜柑

!?

純子

寒くて、眠くて、お腹も空いてて、だんだん意識も朦朧としてきちゃったのでしょうね……。「土の中はいやだね」と話したそばから、片方を置き去りにして冬眠に入ってゆく姿が、より一層この詩を寂しく、切ないものにしているの……。

「秋の夜の会話」のメッセージとは?

蜜柑

でもよ、結局何が言いたいのか分かんねー詩だよな、これ。

純子

あら、どういうこと?

蜜柑

ただ2匹のカエルが、冬眠は嫌だっつって話してるってだけのことだろ?

純子

そうね、言ってしまえばそれだけの詩なのだけれど……。もしかしたら草野は、それが書きたかったのではないかしら。

蜜柑

どういう意味だよ。

純子

つまり、人間に干渉されない、自然に生きるカエルたちの、ありのままの生活を描きたかったのかもしれない、てことよ。カエルたちの、ありのままの暮らしをね。

蜜柑

なんでわざわざそんなこと?

純子

草野は確かに、詩集のあとがきに「僕は蛙なんぞ愛してゐない!」と書き残しているわ。けれど、結局その後もカエルを題材にした詩を作り続けた……。草野の詩作にとって、カエルは欠かせない存在だったわけね。そんな、草野にとって大事な要素であるカエルたちのことを、詩にしてみんなに読んでもらうことで、世間に彼らのことを知ってほしかったんじゃないか、って私は想像するの。

蜜柑

要は、結局カエルに愛着があった、ってことだな。

純子

そういうことね!

まとめ

以上、草野心平「秋の夜の会話」についての紹介でした!

実は私、リアルのカエルってあまり得意ではないのですが、でもこうしてカエルたち自身の言葉で、彼らの生活の様子が紡がれている詩を読むと、なんとなく親近感が持てて、そこもまたこの詩の魅力だなと感じました。

気の早い話ではありますが、季節が巡って秋が来たら、ぜひ虫の声に耳を傾けつつ、この詩を読んでみてくださいね!

純子

うーん……。カエルたちに感情移入しすぎたせいで、ますます空腹がひどくなってきたわ……。

蜜柑

そうかよ。あたしはもう帰るぞ。

純子

待って、蜜柑ちゃん!せっかくだし、今日はこのまま学校の近くにある甘味処でお茶をしない?

蜜柑

嫌だ。

純子

とっても素敵なお店なのよ、クリームあんみつが絶品でね!案内するわ♪行きましょ行きましょ!

蜜柑

相変わらず話聞かねーな、お前!ちょっとくらい冬眠しろってんだよまったく……。

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