今回は、児童文学作家の安房直子さんが書かれた、「きつねの窓」という絵本について紹介します!
小学校の国語の授業で習うこともあるので、「なんか読んだことあるかも!」という方も多いかもしれませんね。
蜜柑
純子
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「きつねの窓」のあらすじ
それではさっそく、「きつねの窓」のあらすじを見ていきましょう!
あらすじ
ある時、猟師の「ぼく」が山で道に迷った時のこと。
ぼんやり歩いていたせいか、気付くと「ぼく」は、恐ろしいほど美しい桔梗畑に迷い込んでいました。
そこへ不意に白いきつねが現れたので、「ぼく」は鉄砲を構えましたが、きつねは信じられない速さで逃げていきます。
必死に追いかける「ぼく」でしたが、やがてきつねの姿を見失ってしまいました。
すると、背後に突然、小さなお店が現れました。
「染め物 ききょう屋」と青い字で書かれた看板の下には、子どもの店員が1人立っています。
すぐに、「さっきの子ぎつねが化けたのだ」と気付いた「ぼく」でしたが、あえて騙されたフリをして、隙を見てきつねを捕まえてやろうと考えます。
店内に案内された「ぼく」が、「染め物屋とは何を染めるのか」と尋ねると、きつねはマフラーでもセーターでもなんでも染められると言います。
渋る「ぼく」に、きつねは「それなら指を染めましょう」と提案してきました。
きつねは自分の、親指と人差し指が青く染まった手で輪を作ると、「ぼく」にその輪の中を見てみるように促しました。
指でできた小さな窓の中には、なんと母ぎつねが映っています。
ある日、桔梗の花から勧められてこの窓を手に入れたというきつねは、「これでいつでも死んだ母親に会えるから寂しくない」と笑いました。
感激した「ぼく」は、喜んできつねに指を染めてもらいます。
代金として、きつねは鉄砲を要求してきました。
惜しい気持ちもあったものの、せっかくこんなに素晴らしい窓をくれたのだからと、「ぼく」は鉄砲を差し出しました。
帰る道中、指で窓を作ってみると、そこには昔好きだった女の子や、今はもういない家族の姿が浮かび上がり、「ぼく」は切ない気持ちになりました。
これでいつでもみんなに会える、もう寂しくない、と喜ぶ「ぼく」でしたが、家に帰ると、ついうっかりいつもの習慣で手を洗ってしまい、もう二度とその窓を見ることはできなくなってしまうのでした。
蜜柑
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「きつねの窓」の見どころは?
「きつねの窓」の最大の見どころは、なんといっても最後、主人公がうっかり手を洗ってしまうところ、なのですが……。
今回は、主人公の指を染めた、きつねの思惑について考えてみましょう。
蜜柑
純子
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実際に本文を読んでみると、きつねは決して善意で主人公の指を染めたのではない、ということがハッキリと分かります。
というのも、きつねが主人公に指の窓で母ぎつねを見せた時、「母ぎつねは鉄砲で撃たれて亡くなった」と言っているのです。
蜜柑
純子
母ぎつねが鉄砲で撃たれて亡くなったということは、このきつねはきっと猟師を憎んでいることでしょう。
そして、どこから仕入れた情報かは分かりませんが、おそらく「人間が習慣で手を洗ってしまう」ということを知っていたのではないでしょうか。
蜜柑
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代金として鉄砲を要求したのも、母ぎつねのように狩りに遭って亡くなるきつねが少しでもいなくなることを願ってのことだったのでしょうね……。
「きつねの窓」のココがエモい!
「きつねの窓」のエモポイントは、物語のキーとなる、「指を青く染めて窓を作る動作」そのものです!
蜜柑
純子
「きつねの窓」は、私も小学校低学年の頃に、授業で習った覚えがあります。
その時分から、「青く染めた指で窓を作る」という動作にすっかり魅了されていたものです……。
桔梗の染料となると難しいですが、手近にあった青い絵の具を指に塗って、実際に窓を作ってみたこともありました。
蜜柑
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まとめ
以上、安房直子さん作「きつねの窓」の紹介でした!
起承転結の流れがしっかりと構成されており、文章も読みやすいので、まさに「小学生向けの絵本」であると思います。
絵本の挿絵もとっても素敵なので、ぜひ大人の方も、本屋さんや図書館などでお手に取られてみてくださいね!
純子
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